仕事のお得意さんの研修会に参加させてもらって来ました。
天気にも恵まれ気持よく見学出来た新しい施設の建物と大工道具の工具類。
リンクはこちら→ 竹中大工道具館
ちょっとマニアックな内容ですが紹介致します。
今月移転でリニューアルしていた
竹中大工道具館というスーパーゼネコンさんの竹中工務店さんが設立された、日本で唯一の大工道具の博物館らしいです。
元々、神戸中山手にあったらしいですがこの度、新神戸近くの竹中工務店、ゆかりの地にこの10月に移転されました。施設内外は新しく和の部分を取入れた建築物です。
アプローチ入口付近。背景に六甲山
博物館建物外観から館内入口
綺麗な庭と木を多く取入れた外観。軒の天井の木の使い方が美しいです。
写真は無いのですが入口を入ると受付とホールになっていて、ホールの木の天井の曲線が美しかった。
1階と2階が展示スペース
ギャラリーへ入ると正面に 唐招提寺の模型の一部が吹抜け部分を飾っていた。写真ではスケール感が伝わりにくいですが、柱も太く迫力のある造形です。
上の写真は道具の展示のほんの一部です。1階、2階には道具がたくさん展示されていました。
1階には箸、スプーン、パズルなどの木の工作の体験 スペースも有り、お子様も楽しめそうです。
名工の最高峰 千代鶴是秀の工房を再現。
鍛冶の技、道具をつくる。道具をつくる為の道具があり、全て自作で作られていたそうだ。頑なまでに己の道を貫き、たゆまぬ探究心を維持し続けた鍛冶の小宇宙空間。
茶室実物大構造模型
数寄屋大工の隠れた仕事、技、材料、土壁について説明されています。特に土壁の薄さに込められた技、工夫は興味深かったです。
日本の伝統の技法
ヨーロッパの木造建築に使用する道具も展示してあった。ヨーロッパでは石の建築が主流だ。日本の大工道具の数に比べて使用する数は少ない。どちらかと言えば荒削りな作業をするような道具が多かった。
石の建築は壁にせよ柱にせよつみかさねていけばいいが、木の建築が主流の日本では木と木の接合部を複雑に削り彫り込まなければならない。
接合部のことを継手仕口というのですが、加工精度が悪ければ継手仕口がゆるみ、やがて崩れてしまう。それに石と違い木は建築に使われてからも生き物であり続け、収縮もするし、湿度の影響もうける。
特に組み木の展示が興味深かった。模型が何種類か置いてあるのですが、手に取ってもどう組んであるのかわからないものもあった。
四角柱の四面に同じ形の象嵌があり、一番上の写真の黄色い小さな丸の部分を押せば斜めに動き、二つに別れる。こんな三次元の造形を考え、よく形にしたなと思います。まるで知恵の輪のようでした。
まとめ
電動工具やハイテク技術によって製材、加工は手道具で切り出していた時代からすれば作業効率は数段進んだのだろうと思います。その反面、職人さんの匠、繊細な技術は失われつつあるような気がします。
今は誰もがメーカー品の電動工具を持ち、壊れたら買い換える時代だ。ここに展示してある工具、道具を使っての仕事は作業に何種類も工具を使わなければならなかったのだろうと思います。
種類に加え、大、中、小、厚、薄と何タイプか必要になる。実際に写真や動画映像で紹介されている職人さんの横には無数の工具が並べられていた。
木を切る鋸、ノミ、鉋も形、サイズが何種類もある。大工の名匠ともなればノミだけでも50タイプも持っていたそうだ。
作業の時間と同等の時間を費やして道具の手入れの時間にも費やされていたと想像出来るほどの、多種多様の道具がある。
釘を使わずに組木の技術を駆使して木造の骨組みを加工していく道具。そして技術は日本独特の大工職人さんの繊細さを日本人として世界に誇らせてくれる博物館でした。
竹中大工道具館はこちら→http://www.dougukan.jp/
大工道具の文明史: 日本・中国・ヨーロッパの建築技術 (歴史文化ライブラリー)
吉川弘文館
売り上げランキング: 532,452