「岬バーガー」何のこっちゃ?と思うタイトル。
先日読んだ海に関する小説。「海が見える家」を読み終えたら、本書が紹介されていた。
インスピレーションは「海とハンバーガー」。でも海の家とは違う。と、直感する。
白地に青でMISAKI BURGERの文字がバンズのパンにに挟まれた表紙。
そこから海辺のハンバーガーショップの話であることが想像できた。
なので、とりあえず読んでみようとポチっと発注。
海好きには、特にサーファーには感慨深い遠い青春の思い出。
いつも入る自分たちの海への思いを馳せることのできる一冊。岬バーガーの紹介です。
高校生3人の地元の海でのひと夏の物語
海のある小さな古い町で暮らす、高校のクラスメートが夏休みに地元の海で起こった
ローカル達(地元の人々)が愛するサーフポイント。
遠い遠い夏を少し思い出せた気がする、高校生の1人の少女と2人の少年。そして1人の翳りある男。4人の物語。
岬の真下にある、地元でも穴場的なサーフポイント「岬下(みさきした)」が舞台。
その岬には「岬伝説」という過去に3人のサーファーの悲劇が伝わる場所でもある。
1人の男との出会いからハンバーガースタンドと共にひと夏を過ごす
ある日、岬に不審者が出没すると、学校で噂になり、主人公達は岬で海をじっと眺めている1人の男と出会う。
その後、学校の帰りに3人で岬へ行くと、見慣れない白い軽トラックと、この前の「岬の不審者」がいた。
男はここで「ハンバーガースタンドをはじめる」と言いだす。
それから男が集めた廃材を使って、小屋を1人で建て始めます。
それをいつもそばで見ている3人は、男との距離を次第に縮めていきます。
梅雨の合間の晴れた日に、男は白いペンキで一気に小屋を塗った。
白い看板に青い文字でMISAKI BURGERと書かれた。
そこで3人は男からアルバイトをしてくれと頼まれる。
平穏だった彼らの海に開発の計画が動きだす
ハンバーガースタンドを中心に彼ら4人と、訪れるサーファー達が続々と集まり、開発の地上げ屋との睨み合い、戦いがはじまる。
嫌がらせに耐え、営業を続ける抵抗にも限界が訪れます。
そして4人の眼の前で潰される小屋を最後は自分の手で火を放つ男。
燃え上がりやがて小屋が灰になった頃「いい供養になったかな」と、呟く男。
そして男は「最後に4人で波乗りでもしないか?」と誘い、30年ぶりに波に乗ります。
「4人で一本の同じ波に乗ろう」と決め、波を待ち一斉にテイクオフ。
そのあと何度もトライするが乗れたのは初めの一回だけだった。
そして男は「ちょっと休憩」と言って崖を上がったきり、帰って来なかった。
上がると既に軽トラックはなく、それっきり男と会うことはなかった。
そして、それぞれの道へ進む高校生の3人の別れあり、新しい生活がはじまります。
まとめ
サーフィンの描写がうまく表現されていて、地元の海へサーフトリップに来たプロサーファーへ、デリバリーに向かうシーンがあります。
サーフボードに乗って波を越えて、大切にハンバーガーを届ける、緊張感と臨場感が伝わります。
憧れのプロサーファーと一緒に、波待ちしている間に食べている姿が、脳裏に浮かびました。
実際にボードに跨りながら、沖を見ながら食べてみたい気持ちにさせられます。
こんなハンバーガーショップがあればいいなぁ。きっと世界中を旅すれば、どこかの海にはあるのだろう。
波を求めてサーフポイントを訪れる生活ができれば、そんなお店に出会えることもあるのでしょう。
海を愛するすべての人に読んでもらいたい1冊だと思います。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
小学館 (2013-07-05)
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