夜間工事で22時から次の日の午前中までに2フロア分の改修を終わらなければならない仕事のニッチな設備工事の話です。
と或る8階建てのビルのと或るフロアの男子便所の小便器を入れ替えるという工事とその他各フロアーの備品交換作業。
手洗い器の石鹸水入れと、その排水配管が錆びてきたので交換、大便器用の紙巻器交換という工事で、仕事の項目も少なく交換するだけと簡単に考えていた仕事。その裏に隠れた問題についてのこと、感じたこと書いています。
作業内容
- 水洗センサーが作動しなくなった小便器5台の交換
- 床材の補修
- 手洗い器の石鹸水入れの交換
- 手洗い器排水配管の交換
- 大便器用の紙巻器の交換
表面上は簡単に完了できるように見える作業。その安易な考えでは見えてこない落とし穴
そもそも簡単にできる仕事なのかということを誰が判断したのか?
このビルの全フロアの改修工事を3年前にワタシは担当しました。
その時にトイレの改装も同時に行うことになり、このビルのトイレの知識も細部の欠陥も分かっていました。
最初から一晩でできる工事では無いと分かっておりましたが、元請けさんの担当者が「できます」とビル側に言ってしまっていたので、何があっても2フロアだけは明日使用できるようにする。というミッションだったということです。
22時から始めた作業が終了したのは翌朝の11時。
なぜ11時間も掛かってしまったのか?そんなに時間が掛かるんだったら、人員をなぜ最初から増員しておかなかったのか?
多分、そんな声が聞こえてきそうです。
ワタシが呼んだ職人さんはたった1人でした。
作業を始めると問題箇所がたくさん出て来たこと。それを読めていたこと。
たぶんこれは勃発するかな?という問題箇所は最初から分かっていました。
▼この小便器を交換する作業
怖かったのは新たに取付ける小便器が既存の物よりサイズが小さくなっていることでした。
壁からセンサー用の配線と給水配管が出てます。
電源は今回の新しい器具は電池式なので必要が無くなりました。
問題は給水配管の取り出し口。これが今度選んだ機種に収まるか?という不安でした。
悪い予感的中
配管スペースとして陶器はえぐられているのですが、ちょうどギリギリで配管と陶器が当たってしまいました。
これで今日はもう撤収か、配管周りのコンクリートを割って配管位置を変えるか?
そんなことを考えましたが、水道職人さんが「ちょっと考えるわ」の声で方法があるのか?とちょっと期待が持てそうでしたが、配管周りを割るとなるとホコリだらけになるし、その準備も大変です。
車へ部材を取りに行った職人さんを祈るように待ってましたら、良い部材を持って来てくれました。
本来接続する部分を迂回して接続させて、なんとか無事接続できました。
手洗い排水配管交換はもっと手間取りました。
錆が激しく配管を外そうをナットを回すとナットと配管部材が溶接でくっついているように錆で固まっていました。
ゆっくり慎重に回しましたが、ポキっと何箇所かは折れてしまいました。
これも現場で細工して加工したので、1箇所の交換に時間が掛かってしまいました。
結果、既存にあった部材を取り寄せてから再度作業するようにしました。
今回なぜ職人さんを1人にしたのか?それは問題が起こって撤収となる可能性が大きかったこと。
その時に生じる金銭的リスクが大きいこと。仮に10人職人さんを集めたとしても今回来た職人さんが取り外した瞬間に欠陥が判明してしまったと思います。
そもそも現在着いている配管部材と新しく持ってきた部材の寸法が違ったこともあり、10人で作業を始めても手間が掛かり過ぎてしまうだけで、作業は進みません。
10人いれば現場の意見として対処法は多数決的に判断してしまうことが多いです。
夜中の作業ですし、明日のことを考えれば早く判断しようという空気が漂います。
これに見合った部材を揃えてから後日仕切り直そう。や、配管が当たれば、「ここを割ってからの話やな」などの意見が多数出てしまえば、この工事の結果に対して誰が喜ぶのか?誰が得するのか?ということになってしまいます。
お客さんは明日には使用したい。それもかないません。
床を貼りに来た人たちも何もせずに帰らねばなりません。
俗に我々は「出戻り」と呼んでますが、「後日また」という話です。
まとめ
終わってみれば時間がかかっただけで簡単に見える仕事で終わってしまいました。
その裏の紆余曲折は知る人ぞ知るの世界。
なぜ今回ワタシが一人の職人さんしか呼ばなかったのか?仕事を甘く見ていたから?
今回は材料は支給だったので、発注者は元請けさんの担当者でした。
ですので取り付けれないことがあったとしても、水道業者の責任ではありません。
取付できなければ「取付でけへん』で終わってしまう話です。
仮に10人の職人さんを集めていたとして、作業ができなくて9人が帰ってしまっても彼は一人で最後まで納めてくれる職人さんなのです。
中途半端に納めることなく、各人の立場が成立するように最後まで努力してくれる人なのです。
だから、何か問題があってもすんなり完了しても彼一人で十分な働きをしてくれる職人魂を持った方です。
設備工事を甘く見てはいけません。家の額を5枚付け替えるのと同じようには考えてはいけません。過去に水で痛い目を何度も見てきています。彼も当然一緒に経験してきました。
今回は良い人選と良い判断をしたとワタシは思っております。(自己満足)
今日もダラダラと書いてしまいましたが、そんな素晴らしい仲間との11時間の奮闘でした。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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