去年のお盆過ぎから通ってた、地方の仕事がやっと年を越しての3月半ばで全て終了した。
久しぶりに長丁場な現場だった。
車での通勤なので、かなりの距離を走ったな。
そんな現場仕事だったが、全ての仕事が終わり、「さあ、帰ろう!」と現場の元請け会社の若い担当者に別れを告げた。
「お疲れ様でした、次は何処の現場行くの?」
と、聞いてみた。
「実は僕は今月でこの会社終わりなんです。」
「来季の契約はちょっと難しい。」と、会社から言われたらしい。
彼が派遣社員であった事をここで初めて知ることとなった。
仕事ぶりから見て、正社員だと思い込んでいた。
「なんやそれ!何でまた?」と、ワタシは一瞬動揺してしまった。
突然、最後に初めて聞かされるとは、こちらも考えていなかった。
「それで次に行くところは決まってんの?」と聞いてみたら、決まってますとの事なので、少しホッとした。
東京勤務の彼はこれから新幹線で帰るのだ。
最後くらい最寄りの駅まで送って行きたかった。
いや、行くべきだったのかも知れない。
帰りの車の中で、グルグルと思考が巡った。
ワタシが居る業界では、最大手な会社に居たのだ。
思い起こせば、今年に入って仕事のやり取りで電話しても、「自宅待機でリモートで仕事してます」
と、現場至上主義の我々仕事からすれば、的が外れてるやん、とは感じていた。
会社から切られてしまったのか?
いや、クソが付くほど真面目な青年なのだ。
年齢は聞かなかったが多分、うちの長男と同じ年頃だろう。
確かに経験の浅さからトンチンカンな対応もしていた。
しかし、乾いたスポンジが一気に水を吸い上げるように吸収していたに違いない。
そんな時期ではないか・・
それを会社は派遣と言うだけで、簡単に捨ててしまうのか・・
そんな悔しい気持ちと同時に、何か彼に手本となれる事を俺はしていただろうか・・
と、振り返る。
真面目な彼の質問に対して、俺は真摯に応えていたのだろうか・・
出来ない言い訳は、彼と比べれば山ほど知っている。
そんな抽斗はたくさん持っているだけではないのか・・
やはり、最後に駅まで行っておくべきだったか・・
帰路の車の中でウエッティな感情が湧いて来るではないか。
もう桜も散り、春爛漫な季節になった。
彼は今どうしてるのだろうか。
と、新たな道を歩き始めた君に幸あれと思う今日この頃なのだ。